研究紹介
概要
マイクロ動力学」の「動力学」は「どうりきがく」と読みます。「どうりょくがく」ではありません。「力学」を研究対象とする研究室です。英語では、“Microdynamics”と言います。“Micro”と"dynamics”の間にはハイフン“-”はありません。 そもそもマイクロは、マイクロマシンやミクロン(マイクロメートル)やマイクロスコープ(顕微鏡)から連想されるように小さいことが想起されますね。micro-には、「microscopic = 微視的な」という意味がこめられています。研究の対象は何も小さいものにこだわっているわけではありません。機械は部品で組み立てられている、物質は原子で構成されている、宇宙だって無数の星から構成されています。これまでぼんやりとしたかたまりとしてとらえられてきたものを小さいものの集まりとして目をそらさずに注目して行こうという姿勢を意味しています。フックの発明した顕微鏡、ガリレオ・ニュートンの発明した望遠鏡、いずれも通じるものがありますが、コンピューターシミュレーションという道具でもって研究しようというわけです。
「力学(mechanics)」は「静力学(statics)」と「動力学(dynamics)」に大別できます(ほんとうは捉え方の問題)。動力学は動いている物体の力学という狭義の意味だけでなく、時間発展する様々な現象を扱う学問体系全般を指す広義の意味があります。マイクロ動力学講座では後者の意味で捉えています。
つまり、一歩堀下げて、微視的に物事を見て行き、その時間発展を追究する方法論でもって、未解決の問題にチャレンジしていくというのが研究室です。むろん、「木を見て森を見ず」という落し穴に落ち込んでしまうと、特に工学では大変困ったことになります。そのために、材料力学のベースが不可欠です。さらに、テンソル解析、現代幾何学、関数解析などの数学の知識と、連続体力学、物理学(古典力学・量子力学・統計力学)、計算機工学、情報処理・プログラミングの能力を駆使します。
研究テーマ
- テンセグリティ構造体の動力学解析
- 方程式フリー法を用いたマルチスケール解析手法の構築
- セルオートマトンを用いた変形体解析
- フェーズフィールド法によるマルチフィジックス変形解析
- 薄膜に発生する階層リンクル構造の作成と力学モデル構築
- 隠れた対称性を持つ非線形格子におけるダイナミクス
- 分子動力学法による結晶中の非線形局在振動の解析
- 周期構造における非線形波動ダイナミクス解析